コウヤノマンネングサ Climacium japonicum Lindb.
      イヌマゴケ目、コウヤノマンネングサ科(Climaciaceae)

 

 高野(山)の万年草の意。
 山地の渓谷で、水が流れている所から少し離れて、1m程高くなった場所の林床、腐植上に大群落を作って生育していることが多い。また、付近のより湿潤な場所に、オオカサゴケも見出されることが多い。東アジアに広く分布するようだ。
 植物体の高さが数センチから、時に、10センチほどにもなるため、はじめて見る人は、「これもコケなの?」と思うようだ。さすがに誰もこのコケをけちらかしたりはしない。優美で、気品さえ感じられる。もし、日本の国蘚を選ぶとすれば間違いなくこのコケであろう。
 本種とよく似たものにフジノマンネングサがある。コウヤノマンネングサより、もう少し標高が高い場所、あるいはもう少し冷涼なところに生育している感じがする。

2001/10/07 広島県下帝釈峡。石灰岩渓谷の谷底。帝釈川の河畔林の林床に大群落を作っている。岡山県の石灰岩地にもよく生育しているが、石灰岩地の中の非石灰岩性の場所(腐植が堆積しているところなど)に生育しているように思える。